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椙本歩美准教授がAIU Human Library 2025を開催しました

本学の椙本歩美准教授が、ワークショップ「AIU Human Library 2025」を開催しました。「Human Library(ヒューマンライブラリー)」とは、人を本に見立て、その人の経験から学ぶ方法です。

開催目的は、大学の授業や日常会話ではあまり触れられないけれど大切な社会的テーマについて、当事者の経験を通じて学ぶ機会を提供することです。当事者と非当事者が出会い、人間的な対話の場をつくることを目指しています。これは、学生たちが、他者との出会いと対話を通して、社会的なテーマについて感性を養い、問い続け、考え続け、対話し続ける姿勢を持てるような場づくりになります。

第1回テーマ:「保護司を知ろう」

5月10日(土)の第1回テーマは、「保護司を知ろう」でした。秋田地区保護司会東支部の保護司9名と学生18名が参加しました。まず、保護司の方から保護司の活動について説明を受けた後、グループ対話を2回行いました。学生たちは、保護司の体験談に耳を傾け、感想や質問を直接投げかけていました。学生からは、「保護司を少し身近に感じることができた」「人を信じることの大切さを学んだ」「自分の周りにも孤独な思いをしている人がいるかもしれないので、声をかけていきたい」などの感想がありました。そして、更生保護の取り組みの難しさについても、学生たちは考えをめぐらせていました。

第2回テーマ:「戦争体験にふれる」

6月14日(土)の第2回テーマは、「戦争体験にふれる」でした。秋田市で語り部活動をされている齋藤信夫さんとキミ子さんご夫妻が、参加した学生16名にご自身の戦争体験と、出征されたお父様にゆかりのある品々について語りました。。グループ対話で学生たちは、自分と同世代で出征した父親への思いをめぐらせ、「今は戦争を防ぐのに十分な教育だと思いますか」と質問をしたり、「戦った相手への想像力も持ちながら、戦争の記憶を継承していきたい」などの考えを述べていました。

父親の戦争にまつわる品々を学生に説明する齋藤信夫さんとキミ子さん

第3回テーマ:「若者の生きづらさと犯罪」

7月5日(土)の第3回テーマは、「若者の生きづらさと犯罪」でした。法務省秋田保護観察所の富樫伸介さん、東北地方BBS連盟の桑村忠良さん、そして秋田の学生BBSメンバーが、それぞれの立場から、非行や犯罪から地域社会に復帰するための支え合いについてお話しくださり、学生とゲストの方々でグループ対話を行いました。参加した学生13名からは、「自分が持っていた偏見に気づいた」「本人にしか分からない苦しみや生きづらさがあることへの想像力を持つ大切さ」「色々な意味で『助けて』と言える社会になることが大切」「考え方に幅ができた」などの感想がありました。

法務省秋田保護観察所の富樫伸介さんのお話
法務省秋田保護観察所の富樫伸介さんのお話
テーマと真剣に向き合い対話する参加者たち
対話を通じて互いの考えに理解を深めていました

椙本歩美准教授からのメッセージ

2025年のワークショップで取り上げたテーマはどれも非常に重く、複雑で、すぐに答えが出るものではありません。だからこそ、無関心にならずに、じっくり問い続けることが大切です。各回では、「今、自分のできる範囲でできることを考えて、行動していきたい」というような学生の感想もありました。「Human Library」では、直接的な他者との対話を通して、社会的なテーマを自分にひきつけて感じたり考えることができます。学生たちには、自分事として、それぞれのテーマに向き合おうとする姿勢がみられました。