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映画監督?池谷薫教授による特別講義を行いました

6月27日(金)、本学の日本研究プログラムとグローバル?コネクティビティ領域は、映画監督の池谷薫 甲南女子大学教授を招き、特別講義「『蟻の兵隊』と戦後80年を振り返る」を行いました。

講義は、池谷教授が監督したドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』の上映と質疑応答を含め、3時間を超えるプログラムでした。

この講義は、グローバル?コネクティビティ領域が掲げる分野融合、そして日本研究プログラムが推進する教室を越えた24時間学修の取り組みの一環として行われました。シネマ?ヴェリテのようなドキュメンタリー映画の制作手法を学びつつ、戦時中?戦後の歴史と記憶に関するより深い哲学的問いについて考える、まさに学際的な学びの機会となりました。

特別講義の様子
特別講義の様子

制作の舞台裏

池谷教授は、制作の舞台裏について、ドキュメンタリーの主人公である元日本兵の奥村和一氏に刻まれた1940年代の 「編集された 」記憶を打ち破り、「真実」に迫るために挑発的なアプローチを用いたことを明かしました。

講義は日本語で行われ、ショーン?オライリー教授が逐次通訳しました。オーストラリア、フィンランド、イタリア、オランダ、アメリカ、そして日本からの参加者を前に、池谷教授は真摯に歴史と向き合うことの重要性を訴えました。中でも「ドキュメンタリーは、たとえ完全に事実に基づいていても、フィクションである」という彼の発言は印象的でした。

ドキュメンタリー制作の倫理と戦争の記憶

講演後、教員を含む約30名の参加者から、ドキュメンタリー制作に関する活発な質疑応答が行われました。特に印象的だったのは、ドキュメンタリーの制作における倫理観に関する質問で、池谷教授自身が制作において「越えてはならない一線」をどのように捉えているかという問いでした。

池谷 薫氏

池谷教授は、その倫理的境界線を意識しつつも、真実に到達するためにはその境界線に限りなく近づく必要があるため、ドキュメンタリー制作は精神的にも過酷なものであると述べました。

最後に、池谷教授は参加者に戦争について突き詰めて考えてみることを促しました。奥村氏のような被害と加害の両面性のある経験をした人たちが苦痛やトラウマを感じながらも逃げずに過去と向き合い、自身の経験が今後の戦争を防ぐために役立つことを願って私たちに語ってくれたことを、真摯に受け止めてほしいと述べました。